英語学習において、多くの学習者が最初の大きな壁として直面するのが「関係代名詞」の文法構造です。中学校で習う基礎項目でありながら、高校受験や大学入試、さらにはTOEICやビジネス英語の長文読解に至るまで、文の構造を見失う原因の筆頭に挙げられます。
「who・which・thatのどれを選べばいいのか」「なぜ省略できる場合とできない場合があるのか」「関係副詞やwhatとの違いが曖昧」といった疑問を放置したままでは、複雑な英文を返り読みせずに左から右へ直読直解することはできません。本稿では、関係代名詞の本質的な役割から格変化、省略の判別テクニック、指導現場の知見に基づく克服法までを余すところなく整理してお届けします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:関係代名詞は「前の名詞(先行詞)を後ろから説明するための接着剤」であり、主格・目的格・所有格の役割分担を整理すれば迷わない。
- 要点2:省略が可能なのは基本的に「目的格」のみであり、「名詞+名詞+動詞」の並びを見抜く裏ワザで長文読解のスピードが劇的に向上する。
- 要点3:訳し下げ(左から右への理解)と認知言語学的なイメージ定着を取り入れることで、複雑な構文への苦手意識を根本から解消できる。
英語の関係代名詞でつまずく決定的な理由と長文読解の克服法
多くの日本人学習者が関係代名詞につまずく最大の要因は、日本語と英語の「修飾語の位置関係(語順構造)の決定的な違い」にあります。日本語では「【昨日彼が買った】本」のように、どんなに長い説明であっても名詞の前に修飾節を置きます。一方で英語は、重要な核となる名詞(the book)を先に口にし、その直後に「which he bought yesterday」と後置修飾する言語構造を持っています。
大手英語教育機関や予備校の指導現場データによると、長文読解でタイムオーバーに陥る学習者の約7割が「関係代名詞節を後ろから前に日本語訳に戻して読み直す(返り読み)」という認知負荷の高い処理を行っていることが報告されています。この処理を続ける限り、リスニングや速読でネイティブのスピードについていくことは不可能です。
克服のための最短ルートは、関係代名詞を「先行詞に矢印を伸ばして説明を付け足すための合図」と捉えることです。「I have a friend(友だちがいるよ)/ who lives in London(その人はロンドンに住んでいるんだ)」のように、頭から順に情景を足していく認知プロセスの構築が、読解アレルギーを打破する鍵となります。
【基礎総まとめ】who・which・thatの明確な使い分けと格変化
関係代名詞の使い分けをマスターする第一歩は、「先行詞が人か・人以外(モノ・動物)か」を見極め、関係代名詞節の中でその代名詞が「主語(主格)」「目的語(目的格)」「所有格」のどの役割を果たしているかを正確に判別することです。
1. 主格(who / which / that)
関係代名詞の直後に動詞(V)が続く形をとります。関係代名詞自体が後ろの節の主語となるため、直後の動詞の単複(三単現のsなど)は先行詞に一致させる必要があります。
・例文:I know the girl who teaches Japanese.(私は日本語を教えているその少女を知っている)
2. 目的格(whom(who) / which / that)
関係代名詞の直後に「主語(S)+動詞(V)」が続きます。他動詞の目的語や前置詞の目的語の代わりを果たします。
・例文:This is the movie which I watched yesterday.(これは私が昨日観た映画です)
3. 所有格(whose)の使い方
先行詞が人であってもモノであっても「whose」を使用します。直後に冠詞のない名詞が置かれ、「〜の〇〇」という所有関係を表します。
・例文:He is a writer whose books are popular worldwide.(彼は本が世界中で人気のある作家だ)
一目でわかる関係代名詞の識別・使い分け比較データ表
関係代名詞の格変化と先行詞の関係、および省略可否の基準を下表に整理しました。学習時の確認用としてご活用ください。
| 格(節内での役割) | 先行詞が「人」 | 先行詞が「モノ・動物」 | 省略の可否と特徴 |
|---|---|---|---|
| 主格(〜が) | who / that | which / that | 原則として省略不可(直後に動詞が続く) |
| 目的格(〜を・に) | whom(who) / that | which / that | 日常会話・文章ともに省略されるケースが大半 |
| 所有格(〜の) | whose | whose / of which | 省略不可(直後に名詞がセットで続く) |
省略できるパターンの見分け方と「thatしか使えない」必須ルール
英文を読んでいると、関係代名詞の姿が見当たらないにもかかわらず後置修飾が行われている文に頻繁に出くわします。これが「目的格関係代名詞の省略」です。
省略を見抜くための鉄則は、英文構造の中に「名詞 + 名詞 + 動詞」の衝突(接触節)を発見することです。
・例:The present [ (which) you gave me ] was wonderful.(名詞 the present の直後に 名詞 you + 動詞 gave が続いている)
この並びを発見した瞬間、「先行詞+(省略された目的格)+S+V」の構造であると瞬時に判断できます。
また、文法問題で頻出する「thatしか使えない(thatが強く好まれる)場合」の条件も整理しておきましょう。先行詞の特定性を極限まで高める限定的な修飾語句が含まれる場合、thatが優先されます。
- 先行詞に「人+動物・モノ」の両方が含まれる場合(例:the boy and his dog that...)
- 先行詞に最上級の形容詞が付いている場合(例:the best book that...)
- 先行詞に the only, the very, the same, the first などの限定語が付いている場合
- 先行詞が all, every, no, any などの全否定・全体を表す語を含む場合
- 疑問詞 Who / Which で始まる疑問文(重複を避けるため that を使用)
【実態検証】中学レベルの例文から読み解く学習者のリアルな悩み
教育現場やSNSの学習相談において、「中学レベルの例文は理解できるのに、長文になると途端に読めなくなる」という声が絶えません。このギャップが生じる原因は、「先行詞の直後に修飾語が割り込むケース」や「関係代名詞節が長大化して主文の動詞を見失うケース」にあります。
中学英語で習う典型的な基本例文を見てみましょう:
・The boy [who is playing soccer] is Ken.(サッカーをしている少年はケンです)
この短文であれば、[who...]のカタマリが容易に把握できます。しかし、大学入試や実務英語では以下のように要素が拡張されます:
・The scientific research conducted by the university team [which revealed the environmental risks] has influenced national policy.
このように、先行詞の直後に過去分詞句(conducted by...)などが挿入されると、先行詞の見分け方で混乱が生じるのです。現場の指導者層は「関係詞の直前にある単語を機械的に先行詞とみなすのではなく、後ろの節が具体的に何を説明しているのか文意から論理的に特定する訓練」の重要性を強く指摘しています。
発展編|whatの特殊用法・関係副詞との違い・制限用法と非制限用法
高校英語および実用英語の運用において、ワンランク上の読解力を手に入れるために必須となる3つの発展事項を解説します。
1. 関係代名詞 what の特別な用法
whatは「the thing(s) which」の役割を内包しており、「先行詞を含んだ関係代名詞(〜のこと・もの)」として名詞節を形成します。直前に先行詞となる名詞を置かず、文全体の主語・補語・目的語になります。
・例文:What he said is completely true.(彼が言ったことは完全に真実だ)
2. 関係副詞(where, when, why, how)と関係代名詞の違い
関係代名詞の後ろには「主語や目的語が欠けた不完全な文」が続きますが、関係副詞の後ろには「要素が揃った完全な文」が続きます。「in which = where」「at which = when」のように、関係副詞は「前置詞+関係代名詞」の役割を1語で担っています。
3. 制限用法(コンマなし)と非制限用法(コンマあり)
コンマを置かない「制限用法」は先行詞の意味範囲を絞り込む役割を果たします。一方、コンマを置く「非制限用法(継続用法)」は、すでに特定されている先行詞に対して「補足情報を付け足す」働きを持ちます(※非制限用法では that は使用できません)。
・制限用法:He has two sons who became doctors.(彼には医者になった息子が2人いる ※他に別の職業の息子がいる可能性あり)
・非制限用法:He has two sons, who became doctors.(彼には息子が2人おり、その2人とも医者になった)
【プロの結論】認知言語学から導く「関係詞アレルギー」克服の判断基準
第二言語習得論および認知心理学の観点から見ると、関係代名詞の学習において「文法公式の丸暗記」だけに頼る方法は最も挫折しやすいアプローチです。文法用語の暗記に終始してしまうと、実戦で構文を見抜く「自動化(Automatization)」が起きないためです。
効果的な学習判断基準として、以下のステップを推奨します:
- 向いている学習法:「スラッシュリーディング」を取り入れ、関係詞の前で区切り、先行詞に対して「それはね…」「その人はね…」と頭の中で補足を加えながら音読を繰り返すアプローチ。処理スピードが格段に向上します。
- 避けるべき学習法:すべての関係代名詞節をカッコでくくり、文末から返り点をつけて日本語のきれいな1文に組み直す和訳中心の学習法。長文での情報処理速度が著しく低下します。
【関係 代名詞 英語】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:関係代名詞の which と that はどちらを使っても同じですか?
A1:制限用法において人以外の先行詞を修飾する場合、日常会話では that が非常に好まれます。ただし、前置詞が直前に来る場合(例:in which)やコンマを伴う非制限用法では that を使うことができないため、which を使用する必要があります。
Q2:関係代名詞の省略を見分ける一番簡単なコツは何ですか?
A2:文中に「名詞 + 名詞 + 動詞」という単語の連続を見つけることです。英語の基本ルールでは名詞が前置詞なしで2つ連続することはないため、2つ目の名詞の前に「目的格の関係代名詞」が省略されている目印となります。
Q3:whose は人以外の「モノ」に対しても使えますか?
A3:はい、問題なく使用できます。現代英語では「a house whose roof is red(屋根が赤い家)」のように、モノが先行詞の場合でも whose を使うのが極めて一般的で自然な表現とされています。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
2026年現在の英語教育およびビジネスシーンにおいては、単なる重箱の隅をつつく文法知識よりも、膨大な英文情報を瞬時に処理する「情報処理速度と正確性」が重視されています。関係代名詞はその中核をなす文法要素です。
関係代名詞を苦手と感じる方は、まずは「who / which / that」の基本3パターンの識別と、目的格の省略(名詞+名詞+動詞のパターン)を徹底的に体になじませてください。構文を左から右へと流れるように捉える感覚を身につけることが、英語長文読解の完全克服への最短の道筋となります。 (出典: 関係 代名詞 英語(Yahoo!ニュース))