幼少期に誰もが一度は口ずさんだことがある童謡「こぎつね(こんこん)」。保育園や幼稚園のお遊戯、小学校の音楽の授業でも定番の一曲として親しまれ続けています。しかし、1番のメロディは鮮明に覚えていても、2番や3番の歌詞、そして歌詞中に出てくる独特な言葉の真意までは知らないという方も少なくありません。
さらに、親しみやすい愛らしい日本語詞の裏には、19世紀のドイツ民謡をルーツとする意外な誕生秘話が隠されています。本稿では、歌詞の全文紹介から言葉の詳しい意味、ドイツ原曲の知られざるストーリー、鍵盤演奏に役立つドレミ音名や手遊びのポイントまで余すところなく紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「こぎつね」は1番の「山の中」だけでなく、2番の草の実のお化粧、3番の冬の穴ごもりまで描いた情景豊かな名曲。
- 要点2:日本の歌詞を手掛けたのは勝承夫だが、原曲のドイツ民謡は「ガチョウ泥棒のキツネを猟師が撃つ」という風刺的な警告歌だった。
- 要点3:「きりょうよし」などの古風な言葉のニュアンスや簡単なドレミ音階を把握することで、親子遊びやピアノ指導がより深まる。
【歌詞全文】童謡「こぎつね」1番・2番・3番の情景を読み解く
まずは、広く歌い継がれている日本語版「こぎつね」の歌詞全文を振り返ります。日本の四季の移ろいと、子ギツネの愛くるしい仕草が鮮やかに浮かび上がる3部構成になっています。
【1番】
こぎつね コンコン 山の中 山の中
草の実 つぶして お化粧(けしょう)ならい
もみじの かんざし つげのくし
【2番】
こぎつね コンコン 冬の山 冬の山
枯れ葉の お山を つくっておいて
落ち葉の お布団(ふとん)で 丸くなる
【3番】
こぎつね コンコン 穴の中 穴の中
木の実を ひろって ならべておいて
きりょうよし きりょうよし お母さん
1番では秋の山で草の実を使っておしゃれを楽しむ様子、2番では寒さが増す中で落ち葉を集めて眠る姿、そして3番では穴ぐらの中で母親と仲睦まじく過ごす姿が描かれています。季節が秋から冬へと深まる時間の流れが、短い詩の中に凝縮されています。
歌詞に出てくる「きりょうよし」の意味とは?
3番に登場する「きりょうよし」というフレーズは、現代の日常会話では耳にする機会が少なくなったため、疑問に感じる保護者や教育関係者も多い表現です。
漢字では「器量良し」と書き、主に以下の2つの意味を持ちます。
1つ目は「顔立ちや容姿が美しいこと、器量に恵まれていること」、2つ目は「愛嬌があり、人柄や立ち居振る舞いが優れていること」です。作詞者の勝承夫(かつ よしお)は、子ギツネが大好きなお母さんを見上げて「きれいなお母さん」「自慢のお母さん」と誇らしげに慕う温かい心情を、この上品な古風の言葉に託しました。
原曲はドイツ民謡!ガチョウを盗んで撃たれる警告歌だった?
日本の童謡版では心温まる動物の描写になっていますが、この楽曲のルーツは1824年にドイツで生まれた民謡「Fuchs, du hast das Gans gestohlen(キツネよ、お前はガチョウを盗んだな)」です。作詞はエルンスト・アンシュッツが手掛けました。
ドイツの原曲における歌詞は、日本の童謡とはまったく異なるシリアスなトーンを持っています。
「キツネよ、お前はガチョウを盗んだな。早く返さないと猟師が大きな鉄砲を持ってやってくるぞ。赤い血を流して撃ち殺されてしまうぞ」という、泥棒に対する戒めと警告のメッセージが込められた風刺的な童謡でした。ヨーロッパ農村部において、家畜を襲う害獣としてのキツネのリアリティがそのまま歌われていたのです。
作詞者・勝承夫が吹き込んだ日本独自の叙情美
恐ろしい内容を含んでいたドイツ民謡を、現在のような詩情あふれる名作へと昇華させた立役者が、昭和を代表する詩人・作詞家の勝承夫です。戦後の1947年(昭和22年)、文部省の教科書に掲載されるにあたり、日本の風土と子どもたちの豊かな情緒を育む歌詞へと完全に見直されました。
勝承夫は原曲のリズミカルな音の響きを活かしつつ、もみじのかんざしやつげの櫛といった日本の伝統的な装飾品をモチーフに取り入れました。動物への温かな眼差しと親子の絆を描くことで、戦後の荒廃した時代に子どもたちの心を癒やす童謡へと見事に再構築したのです。
保育園・幼稚園で大人気の手遊び歌と動画での楽しみ方
「こぎつね」は、乳幼児期のリズム遊びや表現力を伸ばす教材として、全国の保育園や幼稚園で定番のレパートリーです。
手遊びの基本パターンは非常にシンプルです。
・「こぎつね コンコン」:両手の人差し指と中指を立ててキツネの耳を作り、頭の上で前後に倒す
・「草の実 つぶして」:両手をすり合わせる仕草をする
・「お化粧ならい」:両頬をとんとんと軽く叩いてお化粧の真似をする
・「もみじの かんざし」:頭の横に手を当てて髪飾りをつけるポーズ
・「つげのくし」:髪を梳かすように手を動かす
昨今はYouTubeなどの公式教育チャンネルや音源動画でも、多彩なアレンジの手遊びやアニメーションが公開されており、視覚と聴覚を刺激する家庭内知育コンテンツとしても重宝されています。
【簡単ピアノ楽譜】ドレミ音名で弾く「こぎつね」のメロディ
音域が1オクターブ(ド〜高いド)にきれいに収まっているため、鍵盤楽器の入門曲やリコーダーの練習曲としても最適です。ハ長調(調号なし)のドレミ音名は以下の通りです。
【メロディ音名】
ファ・ミ・レ・ド|レ・ミ・ファ・ソ|ラ・ラ・ラ・ラ|ラーーー|
シ・シ・シ・シ|ソ・ソ・ソ|ラ・ラ・ラ・ラ|ファーーー|
ソ・ファ・ミ・レ・ド|レ・ミ・ファ・ソ|ラ・シ・ド・レ|ミ・レ・ドー|
ファ・ミ・レ・ド|レ・ミ・ファ・ソ|ラ・ラ・ラ・ラ|ファーーー|
指くぐりなどの複雑な運指が少なく、手のポジションを固定したまま演奏しやすいため、初めて鍵盤に触れる子どもや大人の初心者向けレッスン曲として重宝されています。
【こぎつね(こんこん)の歌詞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:歌詞の「つげのくし」とはどのような道具ですか?
A1:ツゲ(黄楊)という硬くて木目が美しい木材で作られた伝統的な櫛(くし)のことです。静電気が起きにくく髪に優しい高級品として、古くから日本女性に愛用されてきました。子ギツネが自然の恵みを使って身だしなみを整える可愛らしい見立てです。
Q2:原曲のドイツ民謡は現在でもドイツ国内で歌われていますか?
A2:はい、ドイツ国内でも非常に有名な古典童謡として親しまれています。歌詞の過激な部分は時代に合わせて表現がマイルドに歌われるケースもありますが、キャッチーなメロディは世代を超えて認知されています。
Q3:小学校の教科書には何年生で掲載されていますか?
A3:教科書出版社によって多少の違いはありますが、一般的には小学校1年生から2年生の音楽教科書に掲載されることが多いです。鍵盤ハーモニカやカスタネットのリズム打ち教材として活用されています。
まとめ:時代を超えて愛される「こぎつね」の奥深い世界
軽快な「コンコン」の響きと愛らしい動物の姿を描いた「こぎつね」は、ドイツの教訓歌を日本の美しい言葉で磨き上げた傑作童謡です。1番から3番までのストーリーをじっくりと味わいながら歌うことで、秋から冬へと向かう自然の美しさや親子の情愛がより一層鮮明に胸に迫ります。ご家庭での手遊びや音楽の導入として、ぜひ歌詞の背景にある豊かな物語を一緒に楽しんでみてください。 (出典: こ ぎつね こんこん 歌詞(Yahoo!ニュース))